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SPECIAL INTERVIEW 03
広告業界への恩返しを — AG-Boostがフルリニューアルした理由

2020年、年の瀬―—。
SO Technologiesの、あるサービスが生まれ変わりました。
その名は『AG-Boost(エージーブースト)』。ネット広告事業を加速させる総合支援サービスです。

実はAG-Boost、もともとは『Z.I.P!(ジップ!)』という名前でネット広告事業を支援するサービスを展開していました。ぱっと見、サービスがどう変わったのかが分かりにくい……!

そこで今回はAG-Boostの事業責任者である荒木 央さんに、ネーミングを含めてサービスをフルリニューアルした理由を伺いました。

AG-Boost 事業責任者、荒木 央

広告業界へ恩返しがしたかった

—— 『AG-Boost』とはどんなサービスですか?

ネット広告の媒体仕入から営業支援・運用・レポーティングまでを人的支援とツール提供の両面から提供し、広告会社の「ネット広告の収益化」を実現するサービスです。

AG-Boostのサービスサイト

例えば、TVや新聞の広告を中心に売上をあげている広告会社があったとします。そこにここ数年、お客さんから「InstagramやGoogleの広告もできませんか」というネット広告関連の問い合わせが増えていました。
その広告会社としては大切なお客さまのご要望なので叶えてあげたい。なにより自分たちの売上にも繋がるのでネット広告をやりたい気持ちは山々です。
しかし社内にはネット広告に詳しい人がいないため、何が分からないのか、どこから手をつけていいかもわかりません。

(AG-Boostのサービスサイトより)

そんな時『AG-Boost』に連絡をいただければ、InstagramやGoogleをはじめとする、ネット広告を提案するためのお手伝いや実施に必要なことを、全てレクチャーさせていただきます。
また、実際の運用や広告レポートの作成もAG-Boostが代行するため、広告会社さんはお客さまとの折衝に集中していただけるんです。
AG-Boostはいわば、広告会社さんが安心してお客さまに提案できるよう、ネット広告に関することを手取り足取りバックアップする黒子役ですね。

—— とても心強いサービスだと思う反面、競合も多そうです。

広告主単位の個別の提案ができて、人的支援もしているネット広告の収益化サービスは、珍しいのではないでしょうか。広告会社さんがお客さまとの折衝に不安を感じていれば、提案書をつくるだけでなく、商談の場にも同席したり実際に提案したりすることもありますよ。

また、AG-Boostは2020年12月に大幅なサービスのアップデートを実施した際、提案書やシミュレーションの作成を自動でできるようにしました。
この自動化により、広告会社さんがお客さまとの商談の場でシミュレーションをさっと出せるようになりました。
もともと人力で支援をしていた部分を自動化することにより、僕らはもっと深い提案のサポートや、バナーや動画の作成といった新たな支援にも着手できるようになったんです。

主に9つの機能を展開している(AG-Boostのサービスサイトより)

—— なんともきめ細やかなサポートですね。

おそらくAG-Boostが信頼してもらえているのは、このサポートの部分が大きいと思います。
ネット広告が得意ではない人からすると、この世界はあまりに複雑で、本当に何をすればいいのかすら分からないですから。

—— 分からない人は、何が分からないか分かっていない場合もありますしね。ただそうなると、本当にネット広告のプロフェッショナルが揃っていなければ、広告会社の期待に応えられないと思うのですが……。

AG-Boostには広告業界で経験を積んできたメンバーが揃っていてノウハウも蓄積されているため、広告会社さんから「こういう情報が欲しいんだけど」という問い合わせにも迅速に対応できます。
僕もリスティング広告の草分け的存在だったオーバーチュア株式会社で働いていた時に、今の仕事の財産にもなっているリスティング広告のシステムの裏側に関する知識やノウハウを得てきました。
だから媒体で何かトラブルがあっても冷静に判断でき、先回りして対応が取れます。

ただし最初からこうだったわけではありません。
リニューアル前の「Z.I.P!」が走り出した当初は、とにかくサービスを知ってもらう、使ってもらうことで売上を伸ばすためにひたすら目先のことを人力のみで動いていました。
その結果リソースが足りなくなり、十分な支援ができずに「全然サポートしてくれない」とお叱りの言葉をもらったこともあります。その言葉もサービス開発に活かしながら、今に至ります。

もちろん今でも、お客さまの望むことに100%応えられているわけではありません。
ただできないことはできないと、はっきり言うように心がけています。できないことも正直に話せるだけの関係性を築けているのも、AG-Boostの強みではないでしょうか。

—— 今回はそんなお客さまとの信頼関係を築き上げていたサービス名を変えたわけですよね。なぜネーミングを変えることになったのでしょうか?

「AG-Boost」の前身である「「Z.I.P!」」は、ジップ○ックからつけたサービス名だったんです。サービスのコンセプトが「ネット広告の媒体仕入と営業支援、運用・レポーティングをまるっとパッケージにしてご提供する」だったので。

そしてこのサービス名で5年ほどやってきたところで、昨年からチームにエンジニアも加わってもらうこととなり、自社開発のツールを提供できるようになりました。
それに伴い支援の形の幅も広がってきて、サービスとして「第二フェーズ」に入った実感があったんです。だから改めて今とこれからにマッチしたサービス名にしようと思い、サービス名を変える決断をしました。

AG-Boostのロゴ。左のロゴマークのモチーフは…?

—— サービス名に込めた想いは?

「AG」はAgency、広告会社、「Boost」は加速させるという意味で、広告会社さんのビジネスを加速させていくサービスにしたいという想いを込めています。

また、AG-Boostには「恩返し」というテーマも込められています。
僕は、広告業界は広告会社とともに成長を遂げてきた業界だと思っているんです。またこの業界、中でも広告会社支援の会社でキャリアを積んできた僕自身も、たくさんの広告会社さんのおかげで成長してきました。

ただ昨今の広告業界を取り巻く状況には、厳しいものを感じています。
昔は広告マンって花形の職業でしたよね。でも今は激務で、あまりクリーンではない仕事というイメージがついている気がしていて。だからAG-Boostを通して業務の効率化をして、広告マンと業界を健康にできたらと願っています。

ネット広告に関する困りごとを解決すること、業務の効率化をはかることは僕らにとって、業界を盛り上げていくことであり、自分たちを育ててくれた人や業界への恩返しでもあるんです。
ぜひロゴにも注目してほしいんですが、鶴をモチーフにしたロゴマークも入っているんですよ。

悩みに悩んだ、想いの詰まったダサくないサービス名

—— サービスリニューアルの際に大変だったことを教えてください。

サービス名を考えるのが一番大変だったかもしれないですね(笑)。

それからUIをフルリニューアルするにあたって機能も追加していったので、年末ぎりぎりまでの作業となりました。
プロダクトマネージャーの七五三くんやしみっちゃんたちエンジニアのみんなが本当に頑張ってくれたからこそ、リリースに無事たどりつけたと思っています。彼らには頭が上がりません。

—— サービス名を変えるのが大変だった理由は?

今回は商標を取るつもりだったので、まず申請に通るかというハードルがあったんです。それに加えてサービスの良さや想いが伝わるのは大前提ですし、かつSO Technologiesは上場企業のグループなのでダサくないネーミングでなければというプレッシャーもあり……(笑)。
ここまで真剣に名前を考えるのは、はじめてだったと思います。期間としては2~3カ月は悩み続けていたかな。一晩寝かせて何か違うなと恥ずかしくなって考え直すみたいなことも珍しくなかったですね。
でもそれだけ、サービス名に気持ちが乗せられた証だとも思っています。

—— UIのフルリニューアルも限られたスケジュールの中で苦労されたようですが、そもそもなぜリニューアルしたのでしょうか。UIの変更は、ユーザーに戸惑いを与えかねない部分でもあると思います。

「Z.I.P!」はもともとベータ版みたいな形でサービスを展開していたので、AG-Boostはいわば正式ローンチだったんです。
正式にリリースするにあたって、お客さまである広告会社さんがもっと使いやすいようにユーザビリティもUIもデザインも考えぬきました。

シミュレーション作成機能の画面イメージ

ただエンジニアのメンバーたちは、「もっとよくできる」と、現状に満足はしていません。その姿を見るたびに、僕は本当に優秀な人たちに囲まれているなあ、もっとがんばらないとなあと感じるんです。

—— 「もっとよくできる」と思うその原動力は、どこから来るのでしょうか?

使ってくださる広告会社さんの存在です。
本当にAG-Boostのメンバーは、ユーザーに対して真摯なんですよ。ユーザーの声に対して「大丈夫でしょ」と放っておいたり、腹を立てたりすることは絶対にありません。また実際に自分たちでツールを使ってみて、もっとここは改善できるのではと、常に考えているんです。

最終形はAG-Boostいらずの社会、かもしれない

—— フルリニューアルしてまだ間もない、AG-Boost。改めて、どんな方に使っていただきたいですか?

「お客さまからネット広告の要望が寄せられたものの何からすればいいのか分からない」「自社で独学でネット広告を始めてみたけれどなかなかうまくいかない」といった困りごとを抱えていたり、「少しずつネット広告を始めていて1つの媒体ではうまくいき始めているのでもっと拡大していきたい」「他の媒体も使って提案の幅を広げていきたいけれどそこまでの余裕がない」など、次のフェーズへ進みたいと望んだりしている広告会社さんに使っていただけたら嬉しいですね。

広告は本来、広告主のビジネスを必要としている人に届け、正しく使ってもらうことでいろんな困りごとを解決へ導き、地域や経済の活性化にも繋がる素晴らしい仕組み、循環だと思うんです。
僕らはAG-Boostでネット広告を便利に使えるようにして、広告会社さんが今以上に力を発揮できる環境づくりをサポートすることで、この素晴らしい循環づくりに少しでも貢献していきたいと願っています。

そのためには、「人とテクノロジーの融合」を進めていかなければならないと思っています。

—— 人とテクノロジーの融合、ですか?

テクノロジーは、これまで人力でやってきたことを効率化するためのツールです。AG-Boostも今回、提案資料やシミュレーションを自動で作れるようにしました。

一方でいろんな機能を提供していく上で、これまで人力でやってきた経験やスキルも、技術の力と同じくらい非常に重要だと思うんです。
提案書のひとつとっても、人によってやり方が異なりますよね。ツールができて便利になったとしても、そういう細かな違いに応えられなければ、痒い所に手が届くサービスとは言えません。

テクノロジーか、人力か。
お客さまにとって一番必要なことは何かを考えたらきっと、こんな両極端な議論ではなく、どちらの力も必要になってくると僕は思っています。

—— 人とテクノロジーが融合して、広告の循環がうまく機能するようになったら、どんな社会になると思いますか?

難しい質問ですね……。
ただ1つ、首都圏だけではなくいろんな地域の経済が活気づいている、「地方」という言葉がない状態をつくりたいとは思っています。
2020年はコロナウイルスの影響もあってより顕著にあらわれたと思うんですが、日本には経済の地域格差がありますよね。

何もない都道府県は絶対にないですよ。何もないわけではなく、魅力あるモノやコトが広まっていないだけで元気になれていないところもあるんじゃないかと。
だから広告会社が元気になって、正しい広告を通して広告主のビジネスとユーザーを繋ぐことができたらきっと、どの地域の経済も活気づいていくと考えています。

AG-Boostは現在、あらゆる地域の広告会社さんも支援しています。
そのうち各地の広告会社さんがネット広告を使いこなせるようになって、自社で地元の人を雇用して運用まで挑戦する、なんていう事例が出てくる可能性もありそうだな、と。

そう考えると、AG-Boostの最終形は、AG-Boostがいらなくなる社会なのかもしれません。

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