技術負債の解消と組織の立て直しを進めてきたATOMは、今まさに次のフェーズに入ろうとしています。
吉村さんが見据えているのは、広告代理店の業務効率化にとどまらず、その経営や価値創出そのものを支える存在へと進化していくことです。
後編では、広告代理店支援の先にある中小企業支援の実現、マルチプロダクト戦略、生成AI時代のプロダクトづくり、そして“事業を創るエンジニア”が活躍する組織の未来について伺いました。
─ 前回のインタビューでは、技術負債を解消し、組織を立て直したお話を伺いました。土台が整った今、吉村さんは次に何を見据えているのでしょうか?
これまでの数年間、僕らは「効率化」、いわば“守り”を徹底的にやってきました。
そして今、その土台はかなり整ってきています。
次に進みたいのは、代理店がより価値を生み出すための「攻め」の手段を増やしていくことです。
その背景にあるのは、広告代理店の現場に残る構造的な課題です。
まだまだ属人化や非効率な業務が多く、本来向き合うべき広告主の成長に、十分に時間を使いきれていないケースも少なくありません。
その結果、中小企業支援が利益を出しにくい構造になってしまっている側面もあると感じています。
だからまずは、代理店が広告主の成長にしっかり向き合える状態をつくる。
そこに集中してきました。
僕は、広告代理店を「中小企業の成長インフラ」だと捉えています。
どんなに良い製品やサービスを持っていても、中小企業には“認知される難しさ”があります。
その壁を越えるためにマーケティングがあり、その担い手として広告代理店の存在は欠かせません。
ATOMを通じて僕らが支援したいのは、広告代理店が本来の価値を発揮できる状態をつくることです。
この考え方は、SOTのミッションである「稼ぐ力をこの国のすみずみまで。」にもつながっています。
僕自身もこのミッションに強く惹かれて入社しましたし、だからこそこの軸はぶらしたくありません。
守りの基盤が整った今、ようやく代理店が本来の価値を発揮できる状態が見えてきました。
ここからは、その価値をさらに広げていくフェーズに入っていきます。
そして、ここからが本当の勝負だと思っています。
─ その「攻め」を実現するための具体的な方向性について教えてください。
はい。これから目指していきたいのは、単なる業務効率化ツールではなく、広告会社の経営そのものを支える存在になることです。
繰り返しになりますが、まず広告代理店が強くならない限り、日本の中小企業は強くならない。
そのために支援できる領域は、まだまだ広げられると思っています。
たとえば、
これらを単発の機能追加ではなく、複数の価値を生み出すマルチプロダクト戦略として取り組んでいきたいと考えています。
代理店の悩みは本当に多様です。
だからこそ、プロダクトの内外を問わずエコシステムとして広げ、それぞれの悩みに応じた選択肢を持てる状態をつくっていきたいと思っています。
そして最終的には、代理店が広告主にとっての経営パートナーになれる状態を支援していきたいです。
その先に、日本の中小企業の成長があると信じています。
─ 非エンジニアで個人でもAIを使えば開発できる時代と言われています。そんな中で、吉村さんがプロダクトづくりで大切にしていることや今後の方針を教えてください。
確かに0→1のスピードはこれまでとは比べものにならないくらい上がっていると思います。
アイデアを形にするハードルはかなり下がりましたし、個人でもプロダクトを作れる時代になってきているのは間違いないです。
ただ一方で、生成AIがすべてを自動でやってくれるかというと、まだそこまで単純ではないとも感じています。
たとえば、
こういった部分は、やはり人間の意思決定やエンジニアリングの力が必要になります。
むしろ、AIが強力になればなるほど、何を作るか、なぜ作るかを考える力と、それを成立させる技術力の重要性はより高まっていくと思っています。
もちろん、将来的にもっと自動化が進む可能性はありますし、その変化にはしっかり向き合っていくつもりです。
ただ、「いつかそうなるかもしれない」ことを理由に、今やるべきことを手放すことはしません。
僕らとしては、生成AIを脅威として捉えるというより、エンジニアが本当に重要な課題に集中するための強力な武器として最大限活用していく方針です。
そしてプロダクトとしても、生成AIによってできることは確実に広がっているので、それを単なる効率化ではなく、より大きな価値としてユーザーに届けていきたいと考えています。
─ マルチプロダクトが進むと、エンジニアの役割も変わりそうですね。
そうですね。
今、既存プロダクトは100→1000のフェーズにあります。スケールさせ、より大きな価値を社会に届けていく段階です。
一方で、これから生まれる新規事業は0→1の要素を持ちます。このフェーズでは進め方がまったく違います。
重要なのは、仮説検証の速さと、学習の量です。
だからこそ、エンジニアにも実装者としてだけではなく、事業を創る側の意識が求められると考えています。
これをPMと共に議論し、設計できる存在。
技術力は当然大前提ですが、それだけではなく、事業を創れるエンジニアが活躍できる組織にしていきたいと思っています。
100→1000を回しながら、0→1を生み出し続ける。
その両立が、これからの僕らの挑戦です。
─ 最後に、これから一緒に働くことになる仲間にメッセージをお願いします。
今は、とても面白いフェーズだと思っています。再建の時期は乗り越えましたし、守りの土台も整ってきました。
これからは、本気で攻めていく段階です。
もちろん正解はありません。マルチプロダクトも、新しい挑戦も、不確実性だらけです。
でもだからこそ、
そんな仲間と一緒に挑戦したいです。
僕らは守るためだけの会社にはなりません。
広告会社の未来を変え、その先で中小企業を元気にする。
その挑戦を、本気でやり続けます。
ぜひ一緒に、攻めの歴史を創っていきましょう。
吉村 卓生
静岡県出身。地方での受託開発を経て東京に拠点を移し、フリーランスとして業務システム開発やWebサービス開発など、さまざまなシステムやサービスの立ち上げとリリースを経験。大手金融系案件をはじめ多様な開発現場で、上流設計から開発・リリースまで一気通貫で担い、開発組織やプロジェクトを牽引。その後、大手アドテク企業にて広告関連プロダクトの開発に従事し、2019年にSO Technologiesへ入社。エンジニア組織の立ち上げ・拡大をリードし、プロダクト開発を推進。
2026年1月より、広告会社支援SaaS「ATOM」の事業責任者として、事業成長と組織づくりを担っている。